2013年2月3日日曜日

井戸を掘るの巻。そしていろいろ考えてみる。


「発展途上国にいってきます」と、前職を辞める挨拶周りをしているときに、
「へーすごいね。で何するの?井戸とか掘るの?」と聞かれたことが数回ありました。
発展途上国で開発に携わると聞くと、ひとは「まずは水が必要でしょ=井戸」となるのでしょうかね。

「いえ、廃棄物処理に携わることになるので井戸は掘らないですね〜。」
と答えていました。が、この度、井戸を作ることになってしまいました。
もちろんわたしが掘るわけではないけれど。

常夏の国(地域)では、雨期以外はだいたい水不足に悩まされます。
わたしの住む田舎町も例外ではなく、雨期は道路が冠水して全てがストップしてしまうくらい雨が降りますが、それ以外の時期は「水がない」とよく言っています。

わたしが携わる廃棄物処理でも、生ゴミを堆肥化させるコンポスト事業には水は不可欠なんです。ファイルを使って高く積み重ねた生ゴミの山は放っておけば堆肥となるわけではなく、分解するバクテリアが活発に働いてくれるように、水分を与えて呼吸をさせるために週に1回撒水と撹拌が必要となるのですが、その水がないんです。水分が少ないと当然分解に時間がかかるためコストが上がり、出来上がる堆肥のクオリティも下がります。
今まではバウザーでコンポスト施設まで水を運んでいたのですが、水がないのはどこも同じ。各部署でバウザーの取り合い、水取り合戦が起こり、週に1度は水が全くない日があり、ここで働くワーカーさんが手を洗う水もなく、衛生的にも問題でした。

というわけで、日本国の皆様の血税を使わせていただき、この町に小さな井戸を作る許可をいただきました。
あなたの1円(おそらく)をこの小さな国の小さな町にある井戸掘削工事に使わせていただきました。
みなさま、ありがとうございます。

皆様の血税を使わせていただくわけですから、当たり前の話ですが、「現在どういう状況でどのような問題があるのか、井戸を作ることでどのようなメリットが生まれるのか、今後だれがどのように維持管理していくのか」などを報告することから始まりました。
わ たしが全部書類を作れば早いのですが、私が必要としているわけではないし、今後維持管理するのも市役所。「援助はタダではない。自分たちで維持管理していかなくてはならない」ということや、援助を受ける側として援助を受ける大変さを理解してほしかったので、書類作成(こちらは全てがレターの世界なんです)や見積もり依頼など、できるだけ全ての行動を現地のスタッフと共ににしました。

まぁ大変でした。
第一、今まで井戸に携わる仕事なんてしたことないし、異国であるこの国の地質のことなんて全くわからない。その上なんとわたしのいる市役所にエンジニアが一人もいないことが判明。なんて市役所だ。。。
なのでさまざまなコネを使いました、そしてとにかく周りを巻き込む!これがこの国では大切なのです。(笑)

まずわたしが所属する省管轄の廃棄物処理支援センターのマダムに相談し、県の水道局の副総括にアポを取ってもらいました。当日は市長に同行してもらい、現状を説明し、地質調査をしてほしいとお願いしました。しかし日本円にして約4万円ほど調査にはかかると言われました。日本では4万なんてどうにかなりますが、この国では(わたしのいる田舎町ではかな?)どうにもなりません。なので「調査を含める井戸建設見積もりを作ってほしい」とお願いするも、「調査をしないと見積もり作れないし、 MAXどれくらいかかるとかそんな曖昧な見積もりも無理です」と、”まぁまぁ”と”だいたい”で動くフレキシブルなこの国で初めてこんなにお固いことを言われました。お役所で融通聞かないのはどの国でも一緒ですね。

しかしその副総括、日本にも上下水道関係のプログラムを受けにいったことがあったらしく、 親日家だったからか親切にしてくれて、「井戸を作る会社を紹介してあげる」と言ってくれました。すぐに紹介してくれた会社に連絡し、エンジニアにアポを取り、後日現地スタッフと一緒に会社を訪問しました。
エンジニアの方もすごくアタリで、以前わたしのいる町で井戸を作ったことがあり、地質について理解していて、話がとてもスムーズに伝わり、地質について〜井戸の掘削方法〜掘削機の説明、をわかりやすく説明してくれました。

あっ、ちなみに井戸といっても時代劇で使っているようなテコの原理&バケツを使って水を汲むものではありません。地下数十メートルの水をポンプを使って引き上げるものです。

この会社の他にも、あと2つの会社で見積もりをとりましたが、上記会社が一番安い価格を提示してくれ、無事上記会社での井戸掘削工事を行うことになりました。


決まってからはあっという間。
まず地質調査を行い、どのあたりに井戸を作るかを調べます。
それから2日後、掘削工事start。


日本の機械がいいのだけれど高いからインドの機械を使っているそう。

ものすごい音をたてて掘削していきます。
パイプを継ぎ足し継ぎ足し地下へと掘っていきます。
空気を吹き込んでたまった土を外へ飛ばすのですが、どんどん土から泥にかわり…

どろんこのおじさん。
機械を動かすおじさんもあっという間にどろんこ。
だけど大人になってこんなにもどろんこになることないし、ちょっとおもしろそうでうらやましかったです。
ご覧のとおり、こちらの土は赤土です。焼物にもよいらしく、Noritakeの工場もこの国にあります。
土層が25mほどある土層がおわると岩層とあらわれます。

岩(石)なので色が灰色となりました。

何もしてないけれど、水がぷあーっと出たときにはなんだか感動しました!
掘削がおわると、土層分にPVCのパイプを入れます。

できあがった井戸。つきだしたパイプを伸ばしてタンクとつなげれば完成!
工事をはじめて一日の休みをいれて4日で掘削作業は終わりました。
最終的に80mほど穴を掘り、地下約50mほどのところから水をポンプで吸い上げることになったそうです。

さいごに水質調査を24時間行い、飲料水として使えることがわかりました。
よかったよかった。

バケツでくみ上げる形とか、姫路城のお菊井戸みたいなのを想像していた方は、「ナニコレ?」って感じではないでしょうか。わたしも出来上がりをみて、「これで終了!?」と思いましたが、これが現代の井戸だそうです。(笑)

これでこれからの乾期でもコンポスト事業がスムーズになり、そしてワーカーさんたちも安心して仕事ができます!

ちなみにここでできたコンポスト(堆肥)は町のコンポストショップで販売します。たくさん売れればそのお金で、廃棄物処理施設の改善、穴ぼこだらけの道の修繕費、市営の幼稚園の環境改善などに使うことができます。

発展途上国では時折、”援助慣れ”ということばが聞かれます。先進国の援助が入りすぎて「援助をもらえて当たり前。タダでモノがもらえる」と勘違いを起こしていることがあります。(単純に彼らを責めることはできません)
わたしの町ではそういったことはまだ起こっていませんが、先進国側の人間としてこの町で仕事をするにあたり、然るべき方法で然るべき人に然るべき対応をしなくてはならないと思っています。
援助の”結果”というものは、確かに人の心の問題、目に見えない形で現れる部分ももちろんたくさんあると思いますが、私の取り組む廃棄物処理は、”結果”を数字に表すことができる部分もあります。
今回井戸を作って「ハイ、おしまい!」ではなく、ちゃんと結果を表すことを現地の人との約束としました。それは、井戸を作る前と後のコンポストを品質検査に出して、品質向上を目指すこと、です。
コンポストが出来上がるまで通常8週間かかるのでまだ結果はわかりませんが、また結果を報告したいと思います。

あぁ、久しぶりに真面目に仕事の話を書きました。

2 件のコメント:

  1. いつもおもしろいけど、今日の記事は特に興味深かった!
    お仕事がんばってるね。きっとまゆにしかできないこともいっぱい。
    まゆの活躍楽しみにしてます!!

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    1. Ayumi Hirata>
      初めてのコメント!びっくりしたー。
      ありがとう!!!
      こんな感じで日々、日常の出来事から感じることはたくさんあるので、これからも書いていくよ★

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